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第10話 勇者様が来られた ~アウラサイド~

Aвтор: 光命
last update Последнее обновление: 2025-03-14 19:02:41

昨日は勇者様が来られてバタバタだったわ〜。

国王様から勇者様の召喚に成功したことは聞いていたけど。

こんなに早く来ていただけるとは思っていなかったわ。

たしかあの時は……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「おい、お前たち。

 急に魔物がいなくなった原因はつかめたのか」

武装した中年の兵士、デシールが、若い兵士に対して声を荒げています。

あらあら、そんな言い方しなくても……

「申し訳ございません。

 まだつかめておりません」

若い兵士は直立不動でそう報告しています。

やだわ……

どうなったか原因を早くつかんでほしいわ。

「さっさと探ってこい。

 それでも、この村の強者たちか」

さらに声を荒げるデシール。

「デシール、そこまで言わなくてもいいですよ。

 もう少し優しくしましょうね」

私はデシールに向かい、そう窘めました。

デシールは頭を掻き、苦笑いをしながら、私に対してぺこぺこと頭を下げます。

若い兵士は、敬礼をしながら

「承知

 さらに手分けをして探ってまいります」

と私とデシールに話すと、足早に森に戻っていきます。

数日前に南の森の様子が変わってきたようでした。

先日までの異様な雰囲気がなくなっていました。

シルフ族の私は風の使い手でもあります。

森を流れる風から、なんとなく様子がわかります。

明らかに風の様子が変わっていたのです。

そのこともあり、村の精鋭たちを集めて、南の森の様子を伺わせに向かわせました。

その者たちからの報告もありましたが…

うろついていたウォーウルフも姿は見あたらない。

徘徊していたウォーウルフキングの姿も数日前から見ていない。

そういう報告があがってきました。

ただ原因はつかめなかていませんでした。

私はこの森の通行を許可していいものかを考えていました。

「原因がわからない以上は、いつ危険になるかわからないしねぇ。

 いなくなった原因さえつかめれば……」

そんな時でしたね。

「コンコン」

扉をノックする音が聞こえます。

「アウレストリア王国の国王からの指令で来たアグリというものです」

扉の向こうから男の人の声が聞こえてきます。

んーっ……国王の指令……?

もしかして……

もしかしてもしかして……

あ……あの……勇者様!?

森でのことがわからず難しい顔をしていた私の顔が、いっきに綻びます。

噂に聞い
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